【book】『平成くん、さようなら』
最近なかなか時間がなくて、活字を読めていないのですが、縁あって話題書を読んだのでちょこっと感想を。テレビで拝見するだけですが、古市さんとても人として興味がある(むしろ好き)なのでどんな内容なんだろうと気になっていたところ、職場の先輩が貸してくださったのでした。
大した感想は書いてません~!
◇あらすじ(引用)
平成を象徴する人物としてメディアに取り上げられ、現代的な生活を送る「平成くん」は合理的でクール、性的な接触を好まない。だがある日突然、平成の終わりと共に安楽死をしたいと恋人の愛に告げる。
愛はそれを受け入れられないまま、二人は日常の営みを通して、いまの時代に生きていること、死ぬことの意味を問い直していく。
なぜ平成くんは死にたいと思ったのか。そして、時代の終わりと共に、平成くんが出した答えとは――。
『絶望の国の幸福な若者たち』『保育園義務教育化』などで若者の視点から現代日本について考えてきた著者が、軽やかに、鋭く「平成」を抉る!
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先にも書きましたが、私は著者の古市さんが発言内容は置いておいてもそのスタンスが割と結構好きで、普段社会学者として評論的物言いや著作物を出しているこの人がどのような「小説」を書くのだろうとかなり興味津津だったのです。
蓋を開けてみれば、「平成(ひとなり)くん」はまるで古市さんそのもので、小説の形をした評論のようだと感じました。まぁ、メッセージ性が強い小説はみんなそのようなものか…
文章は簡潔で、本としても薄いのでさらっと読みやすかったです。
安楽死が合法化された世の中で、明確な理由を明かさぬまま「安楽死を考えている」という平成くん。愛も、読者である私も、理由が腑に落ちないままフラストレーションをため込んでいくわけですが、最後は以外にも純粋な人間らしい理由であったことに正直安心しました。
ほとんどノンフィクションな世界観にちょっとだけ混ざったフィクションがやたらリアルで、安楽死に伴った"お別れ会"なんて胸糞悪いなとさえ思ったんですが、神社でのシーンがそれらすべてを昇華してくれました。
淡々としていたのに、すべてをさらけ出して、取り乱してた平成くんの様子に正直ちょっと泣きました。
最後は切ない恋愛小説という感じでふわふわとした読了感がありましたが、飼い猫のミライの死も含め、多角的な「死」に考えさせられました。安楽死という難しいテーマを少し深めてくれた気がします。でもやっぱり、健康なうちに自分の死を決めるのは私にはまだ難しいかな…
グーグルホームならぬ平成ホームになった平成くん。願わくば、まだ生きていて欲しいな、と思いましたね!
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